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クラウド、IT、女性をめぐる本と思考の旅

What Makes a Leader?

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What Makes a Leader? - Harvard Business Review


リーダーシップについて考えているときに、いま通っているCICOMの講師がcoaching sessionでレコメンドしてくれたので、長い英文をがんばって読んでみた。どうやらHarvard Business ReviewのLeadershipの10 Must Readに入ってるくらい有名な論文らしい。日本では『EQ~こころの知能指数』として出版されている超有名な本だってことは読んだ後で知りました。

読んでまず思ったのは、この前読んでいたく感銘を受けた『女神的リーダーシップ』にあげられている資質が、1998年に発表されたこの論文にほとんど載っているということ。それを女性的と称するのはただの分類だけど、やっぱり思うのは、時代に必要とされるリーダーの資質が明確に変わってきているのだということです。

とっても面白かったので、メモをまとめておく。

  • 従来リーダーシップに必要と思われてきた資質、たとえば知性、タフさ、決断力、ビジョンなどは確かに必要だが、それだけでは十分ではない。本当に効果的なリーダーに必要なのは、高い「感情知性」"Emotional Intelligence"、つまり自己認識、自己規制、モチベーション、共感力、そしてソーシャルスキルである。
  • self-awareness(自己認識)
    自分のムードや感情、やる気を認識して理解し、それが外の人にどのように影響を与えるかをきちんと知ること。自分の長所も短所をきちんと知っているがゆえに、短所をユーモアを持って自虐ネタにできる。それゆえ自信を持っている。
  • self-regulation(自己規制)
    破壊的な衝動やムードをコントロールしたり切り替えたりする能力。ジャッジをサスペンドする、つまり行動する前に考えること。我々が自分たち自身を「感情の囚人」であることから解放してくれるための感情的な知能。
  • motivation(モチベーション)
    お金や地位などの理由を超えて、働きたいと思うパッション。エネルギッシュに粘り強くゴールに到達しようとすること。そういう人こそ結果にこだわり、また同時に結果が予想より悪かったとしても楽観的でいられる。
  • empathy(共感力)
    他の人々の感情的な性質を理解する能力。人々が感情的にリアクションするかを考慮して接すること。決してほかの人の言うことのすべてに同意し共感するということではなく、知性に基づいた判断を行うときにでも、人々の感情を考慮して行うこと。これが必要な理由は、チームでの仕事の増加、グローバリゼーションの急速な進展、そして有能な人々をつなぎとめる必要があることによる。
  • social skill(ソーシャルスキル
    人とのつながりをマネジメントすることとネットワーキングに習熟すること。共通点を発見し、親密さを築くこと。単にフレンドリーであることではなく、人々を自分が望む方向にもっていくという目的を持ったフレンドリーさ。一人ではどんな重要な仕事も成し遂げられないという前提を知る必要がある。
  • Emotional Intelligenceは、「持っているといい」というレベルのものではなく、「持つ必要がある」ものである。そして幸いにもこの能力は訓練することで鍛えられる。

Emotional Intelligenceというのは、もしかしたらなんとなく「人間力」と言われてきたものを具体的に分解したものかもしれない。自分の周囲にいる尊敬できる上の人たちは、皆この5つの資質を兼ね備えていると思う。それが先天的で特別に選ばれた人にしか持てないものとか、年を取らないと身に着けられないもの(年の功ってやつ)でもなく、意識して訓練することで体得できるというのはとても励みになった。

それにしても、"Empathy"が必要な理由としてあげられた3点(チーム、グローバリゼーション、人材の確保)は完全に時代を先読みしている・・・。15年前の論文なのにまったく古くないどころかむしろ今こそ実感できる内容だと感じました。